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20:「僕」男の子。(10)

2016年07月07日 05:15

その後も
私と優ちゃんが付き合う事はなく
和泉、優ちゃん、私の3人の友情は続いた。
不思議と和泉には肩に腕をかけられても
冗談混じりの少しエッチな話題になっても
嫌だと感じる事が一度もなかった。



同僚の皆が綺麗なワンピースを着たり
ヒ―ルを履いたり
新色の口紅を付けたりする中
私はいつまで経っても化粧っ毛もなく常にジーンズとスニーカー。
ショートカットで幼顔という事もあってか
社会人になってからも頻繁に少年に間違えられた。



19歳になっても
道を尋ねられる時、かけられる言葉は


「僕」

 
いつしか慣れっこになった私はそこでも僕を演じ続けた。
鹿島さんの娘である瑛子ちゃんに男と間違えられ気に入られた後も
鹿島さんに頼まれ
瑛子ちゃんとバンドのコンサートに行った事もあった。
だがドラックストア―で男として私を見た瑛子ちゃんの事を思うと
女であるという罪の意識に苛まれ
この日も私は男っぽい私を演じたのであった。







私は、ずっと少年の仮面を被って生きてきた。






   ――― 僕、国立競技場、どこにあるか知らないかしら?




初めて僕と声をかけらた時
自分が女である事が罪のように感じた。
私が女だと分かったら
この人を傷付けてしまうかも知れない。
そう思った私は業とガニ股に両足を開き少年っぽい声で答える。
やがてそれは演技ではなく、私のそのものとなっていった。
これが私なんだと思う様になっていった。








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