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15:サイン(10)

2016年02月17日 23:18

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15:サイン(9)

2016年02月16日 23:17

体育の授業が始まってもアキラが来る気配はなかった。
五分が過ぎ、十分が過ぎてゆく。


この時、妙な胸騒ぎがした。
嫌な予感がしたのだ。
アキラを一人で部室に行かせた事を後悔した。
授業の最中も何度も抜けだそうかと思ったが
この日の授業は、団体行動だった為
私が欠けると試合が出来なくなり抜けだす事が出来なかった。
一秒過ぎる事に言い知れぬ不安が荒波のように
私の心へ押し寄せてくる。
気が気がじゃなかった。
とうとうアキラが武道館へ現れる事はなかった。




「ごめん、私、アキラ探してくる。 先、教室戻ってて!」



授業が終った途端、
私は体操着のままテニス部の部室へ全速力で向かった。
気持ちばかりが焦り
足が縺れ絡まりそうになりながら
部室の薄っぺらい木の扉を力強く押した。



 

          ガチャッ。






「アキラ・・?!」




ブロック塀の壁で隔たれた狭い部室は
小さい窓が一つしかなく
昼間だというのに
太陽の日差しが差し込む事はなく真っ暗であった。
アキラの姿はどこにもなかった。




15:サイン(8)

2016年02月15日 23:16

   ------  もういいよっ!! 小雪には相談しない!!!



アキラはとても協調性があり
温和な性格であった。
その彼女が怒りを露わにし
教室に響き渡る程の大声で叫ぶと
手にしていたノートを床に叩きつけた。
アキラが怒った姿をこの日、初めて私は目にした。
何を言われても構わない。
放課後、私から米倉に話そうと思った。



「ごめん、本当にごめんね、ちゃんと聞くから、お願い話してよ・・」


「もういいから・・ 本当に大丈夫だから・・」


次は体育の授業
アキラは体操服を手に取ると
何事もなかったかのように普通にしていた。
いつもの彼女に戻っているかのように見えた。
クラスの友達と武道館へ向かっていると
アキラの足が立ち止まった。



「ごめん・・ 私、部室にシューズ置き忘れてきちゃったみたい。
ちょっと取りに行って来る。」


「私も一緒に行くよ、一緒取りに行こう!」


「さっきの事気にしているの? 心配しなくても大丈夫だから。」


笑顔で手を振り部室へ消えて行くアキラ。
後ろ髪を引かれる思いって、こういう時の事を言うのだろうか
笑顔で部室へ向かうアキラの姿を目にしながら
大丈夫、何もない。
そんな事を思いながら武道館へと向かった。



この日がアキラの姿を見た
高校生活最後の日になるなんて思ってもみなかった。




15:サイン(7)

2016年02月14日 23:15

休憩時間
クラスの友達とババ抜きをしていた時だった。
背後からアキラの声がした。


「ねぇ・・・ 相談があるの。」


まただ。
この時の私はそう思った。
学校へ行き顔を合わせた途端
「どうしよう」という言葉から始まる。
一限目が終わり休憩時間になると「どうしよう」
二限目が終わると「どうしよう」
それが三限、四限とつづき
私がバスを降りるまで言い続ける。


その度に、今後アキラがどうしたいのか話を聞いた。
米倉にも相談するように背中を押しつづけた。
だがアキラは、佐々木にバレる事を恐れ
私の言う事なんて一切聞かない。
それなら私がどちらかに話すと言うと頑なに拒み続ける。
何も言っても
「分からない」「できない」「嫌」「どうしよう」
全くアキラの意思が見えない。
この場に及んでも尚
佐々木を気にするアキラの態度に腹を据え兼ねていた。




     --------- もう終わるから、もうちょっと待ってねーーっ。



私は笑顔で言った。
私の中にきっとあったんだ。
どっちにも良い顔をして
両方を繋ぎ止めようとするから、こんな事になるんだって。
私の心のどこかにアキラに対し腹正しく思う気持ちがあったのだ。
彼女に抱いた小さな意地悪心。
それがアキラの心を深く傷つけるなんて思いもしなかった。



15:サイン(6)

2016年02月13日 23:14

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15:サイン(4)

2016年02月12日 23:13

佐々木先輩の事が好き!
その言葉をを散々、口にしながらも
初めて逢った男と関係を持つ
口に出す言葉と行動が矛盾していると思いながらも
何も言わなかった。




そんな時であった。
テニス部に米倉という一年男子が入部する。
どこか取っつきにくく
胡散臭い雰囲気
それが米倉の第一印象であった。
なんとその米倉ともアキラは肉体関係を結んでいたのだ。




「佐々木先輩も好きなんだけど
米倉君からも付き合って欲しいって言われて何か断りきれなくって・・」





          断りきれなくって・・




          だからヤルの?



佐々木の事を好きだと言いながら
他の男と寝るなんて信じられない。
しかも同じ部である。
皆の前では佐々木先輩一筋と言っていながらも
その裏では米倉と関係を持っている。
米倉を見ていれば分かる。
彼がアキラを口説くのは本気じゃない
ただの遊び。
私のように火傷して痛い目に遭うのが目に見えてる。



好きって何だろう。
人を好きになる気持ちって、そんな簡単なものなのか。
それは恋もした事がない
私の理想論だったのだろうか
きっとこの頃からだったんだと思う。
少しずつアキラとの関係に心のズレを感じるようになっていた。





15:サイン(5)

2016年02月11日 23:13

佐々木に告白しながらも
同時に米倉との関係を続けるアキラ。
どちらも失いたくないアキラは
その後も二つの顔を使い分けていた。


放課後
旧校舎の裏で米倉と抱き合っているところを
同級生に見つかり
あっという間に二人の関係は広まり
嫉妬した佐々木が
アキラに交際を申し込んだものの
いつまでも答えをだせずにいた。



「米倉君は年下なのに行動力があって強引なところが男らしいの。
優柔不断の私を引っ張ってくれるって感じかなぁ。
でも佐々木先輩は、ずっと想ってきた人でしょ?
まさか恋が実るなんて想ってなかったし・・決められない。」



「アキラが出す答えなら私は応援したって想っている。
だけどさ二人と付き合うなんて出来ないんだよ!」



私の二の舞にだけはなって欲しくない。
あんな思いだけはして欲しくない。
だがその後も佐々木と米倉の二人を天秤にかけ続けた。


14:サイン(2)

2016年02月09日 16:52

テニス部に所属していたアキラは
この頃、男子テニス部三年の佐々木に想いを寄せていた。
お世辞にも二枚目とは言い難い男性ではあったが
一年から進学クラスに属する秀才。
運動で鍛えられた肉体は
彫刻のような美しい体であった。
そんな佐々木に何度も猛アタックをするものの
アキラの思いが届く事はなかった。




今まで散々
男達と遊んでいたアキラであったが
佐々木の事を口に出すようになってからは
他の男の影が一切なくなった。





    ―――  私は佐々木先輩が好き!




溜息交じりで呟くアキラの姿を見て
溜息が出る程
誰かを好きになるなんて
なんて可愛らしいんだろうって思った。
誰かを想って苦しくなったり
溜息が出たり、哀しくなったり
私にはそんな経験が一度もない。



どこにも逃げ場がなく
居場所を求め続けた私達。
寂しさと孤独を埋める為
ただそれだけの為に生きてきた気がする。


でも誰でもいいじゃなくて
アキラが心から好きだと想える人
アキラの事を心から大切に想ってくれる人
アキラが心から信頼できる人。
人の心の温もり
自分にとって大切な場所。
その場所が佐々木先輩であるなら応援したい!思った。
アキラの幸せは、私の幸せでもあったから。


だが人間って本当に弱い。
弱いんだと思う。
そんな青春恋愛ごっこも長くは続かなかった。


14:サイン(1)

2016年02月08日 16:51

あの頃

見逃してきたたくさんの事。

今になってみて気付く事がある。



あの時、見逃してきた

たくさんのサイン。


どこかで気付いていたのに大丈夫だろう、って

簡単な言葉で片付けていたのかも知れない。

もっと早く気付いてあげれば

もっと親身になっていれば

あんな事も起こらなかったのではないか。



私は今でもあの頃の事を悔んでならない。

だけど時って戻せない。

気付いた時には遅いんだ。




13:13階段(27)

2016年02月07日 16:50

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