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23:涙のジョージ(20)

2016年07月18日 23:42

心にもない事を
私はおどけて口にしていたのだ。
何て事を言っているんだろう。
こんな事、一度も思った事無い!
こんな事を伝える為に電話したわけじゃない!
それなのに心にもない言葉を口にしている。





「小雪ちゃんってさ、本当に人の気持ちが分からない人だね。
俺、女にこんな酷い事、言われたの初めてだよ。
そんな事を伝える為に電話してきたの?
俺がさ、その言葉でどれだけ傷付くのか分かっている? 分からないでしょ。
連絡先を聞いても教えてくれない。
いつ逢えるかも分からない君の事を
俺が一体どんな気持ちで、あの場所で待ち続けていたのか分かる?
その気持ちを考えた事ある? 分かるはずないか。
どうせ俺は君の遊び相手の一人にしか過ぎなかったからね、でも俺は違った。 
だけど前の彼女の事もあって
また同じ想いをするんじゃないかって不安だった、怖かった。
一緒に居ても、君が何を考えているのか全然分からなかったからね。
俺達、もう逢わない方がいいよ。」



ずっと疑ってた。
彼の言葉も。
彼の行動も。
何もかも全て。
私は信じる事が出来なかった。


何で気付かなったんだろう。
何で今まで分からなかったのだろう。
あの場所で
私を待ち続けていてくれた彼の気持ちに。
一度だってそんな事なんて考えた事すらなかった。
酷い事を言ってしまった。
最低だ。
本当に最低だ・・
彼に逢う資格なんてない・・
もう電話しちゃいけない。



「ごめんね、もう電話しないから安心してね。」



声が震えて言葉が詰まる。
喉のあたりまで感情が一気に込み上げてきて
息が出来ない程、苦しくなっていった。
それなのに私の一粒の涙も零れ落ちる事はなかった。
こんなに哀しいのに、何故、泣けないのだろう。
泣きたい時に泣く事も出来ないなんて苦しいよ。
彼の言葉も聞かぬまま、私は受話器をおろした。



私の初恋は終わった。




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