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2:姿なき心の犯罪(5)

2015年08月23日 18:21

いつしかこのドアを開くのが怖くなっていた。
教室が近付く度
足が重くなり逃げ出したくなった。
だけど変われる気がした。
私、変われるんだ。
前みたいに明るい自分になりたい! 
元気な私に戻りたい!
いつも重たかったドア。
そのドアを力一杯、開けた。






「舞ちゃんっ! さっきはありがとうねっ、

ほらっ見て、先生に綺麗にしてもらった。」



フンッ!!!
という言葉を大袈裟に口すると
舞はそっぽを向いた。





何で・・・? 
さっきまで普通に喋ったてたのに。
あんなに優しくしてくれてたのに・・




「舞ちゃん・・・? どうしちゃったの? 私、何かした?」


「何慣れなしく”舞ちゃん”って呼んでるの?舞さんでしょう!」



取り巻きの一人に肩を突き飛ばされた。




    ――――――   ちょっとぐらい優しくされたからって


            いい気になってんじゃねーよ! バ―カ!



    ――――――   バ―カ! バ―カ!!





バカって言葉が教室に響いていた。
私を転ばせたのは舞。
足をケガさせたのも舞。
そして助ける優しい女の子を演じてたのも舞。
全部、舞の仕組んだシナリオだった。
それなのに舞が声をかけてくれた事
肩を貸してくれた事を嬉しく感じる私がいた。
憎めなかった。
嫌いだったけど
大嫌いだったけど憎みきれなかった。






それどころか舞が転校してきたあの日
声をかけなかった自分に後悔する自分がいて
あの日に戻して欲しいって!
何度も思った。






     ―――  すごーーい! 舞ちゃん、これ可愛いーっ、羨ましいなぁ。






皆と同じ様に舞の持ち物を見て
彼女の機嫌を取っていたら
今頃、虐めなんかに遭わなかったんじゃないか
他の子がターゲットにされてたんじゃないのかって
今更どうにもならないような事を何度も悔やむ私がいた。




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