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2:姿なき心の犯罪(10)

2015年08月28日 18:29

だが現実はというと私の頬は
おたふく風邪のように赤く腫れあがっていて
教室に戻った私の姿を見た同級生達は
何があったのか察し
誰もが恐れ目を背けた。





次は、自分の番になるんじゃないか・・
皆の瞳がそう物語っているのを感じた。



正義のヒーローとやらは
どこへ行ったのか。
そんなモノこの世に存在しない。
存在しないからこそ
誰もが理想とするモノを追い求め
描き作り上げる。
結局、皆自分が一番可愛いのだ。
自分さえ良ければそれでいい。
自分に害さえ及ばなければ
人が犠牲になっていようが関係ないし
自分を守るためなら
多少の犠牲は致し方ない。
私はそういうモノを嫌という程
目にしてきた。



家に帰った私の顔を見た母は
心配していたが
私は体育の授業のドッチボールで
男子の投げたボールが顔に当たったと嘘を付いた。
母に心配をかけたくなかったし
これ以上、母を苦しめたくなかった。



だが理由はそれだけじゃない。
脅されていた。
チクるなよ、チクったらコろすぞ!と脅されていた。
先生や母が知ったら
もっと酷い仕打ちが待っていると思うと
恐怖で私は誰にも打ち明ける事が出来なかった。




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