高校に進学するようになった頃から
母は異常な程
私に執着するようになっていった。
朝は身体検査のようにスカートの長さ
履いている靴、靴下までチェックした。
当時、学校では黒い靴下が流行っていて
校則違反ではあったが誰もが履いていた。
黒い靴下を履き、家を出ようとすると
狂ったように
校則! 校則! 校則!と母が叫び
白い靴下を投げつける。
両サイドに刺繍が入ってるのもダメ。
短い靴下もダメ。
中途半端な長さの靴下を履かされる。
母の前で折り曲げたり
下にずらしたりしたら、また怒鳴られる。
コ―トもそうだった。
入学前、学校指定コートを買う余裕がなかった母は
近所の叔母さんから卒業生のコ―トを貰ってきた。
それは八年も前のコ―ト。
時代を感じさせる萎びた紺色のコートの裏地は
昭和の香りが漂う花柄の裏地が付いていた。
八年も前のコートだ。
学校指定といえどもデザインも全く違う。
学校中探し回ったって
こんなの着ている人はいない!
その事を母に告げると
お前の事を想ってやっているのに、いいから言う事を聞け!
規則っ! 規則っ!! 規則っ!!!
母は大声で規則という言葉を三回怒鳴ると
泣きながら抵抗する私の腕に無理やり袖を通した。