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12:失われた小鳥たち (6)

2015年12月25日 18:14

授業を終え、バス停に向かう。
何故だか分からない。
その日は
普段、絶対に乗る事がないバスを待っていた。
早い時刻という事もあってか人も少なく
バス停裏の敷地に生い茂る雑草を
ぼんやり眺めていると
歩行者の体が私の手に当たり握っていた鞄が地面に落ちた。




          ---------- ごめんなさいっ!!



振り返ると
同じ高校の制服を着た女の子が立っている。



「汚しちゃって・・・ごめんね。」



砂を手で払うと彼女は鞄を差し出した。
細い華奢な腕
セーラー服の袖の隙間から大きな青アザが見えた。
なんだか見てはいけないものを見てしまった気がした私は
視線を反らし手渡された鞄を受け取った。



「もしかして、見えちゃった?
見えないかなぁ、って思ってたんだけど見えちゃうよね?」


「ケガ大丈夫ですか?」


「あぁ、大丈夫、もう慣れっ子だから・・・」




               慣れっこ?




               慣れっこって・・何?




               まさか・・・


               いや違う。


               そんな子いるはずがない・・・・




強張る私の目の前で
彼女は諦めにも似た表情で言った。



   -------    私の親、頭オカシイから。




全身に鳥肌が駆け巡る。


居たのだ。


この世の中に。


しかも、こんなすぐ側に。



私と同じ女の子が・・・



私と同じ痛みを持つ女の子が



今、私の目の前に現れたのだ。






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