別に誰でも良かった。
早く大人になりたかった。
セ.,.ックスを経験すれば大人になれる様な気がした。
大人になれば
この生活から逃れられるような気がした。
居場所を見出せるのなら
相手は誰でも良かったのだ。
――― 彼女がいないようには見えない、なんて言われる。
その言葉を疑う余地なんて全くなかった。
だがしばらくして
私の眼に飛び込んできたのは
想像を絶する程の醜い男。
ゴリラのほうが余程、美しい!
だが分かりやすく言うならばゴリラ顔
ブラマヨの小杉のような髪の毛を
天に突き刺さるかの如く
ムースでガチガチに固め
誰も穿かないような霜降りのジーンズの上には
胴周りについた脂肪の塊が
今にも溢れでそうな状態でついている。
ボクシングの面影など微塵もない。
だらしのない生活感が全身を覆っていた。
身長もせいぜい165、6といったところだろう。
あまりにも醜さになかったものにしようと思った。
他人の振りをして帰ろうかな?
でも自宅の電話番号を知られている・・
どうしよう・・・怒って家に電話されたら
色んな事が頭の中を駆け巡る。
男との距離が縮まる。
どうしよう・・
どうしよう・・・
------------ オレ、薫なんだけど小雪ちゃって君だろう?
肩を掴まれた。
もう逃げられない。
覚悟を決めた私は
この日、初めて逢った薫とホテルへ向かった。