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14:サイン(2)

2016年02月09日 16:52

テニス部に所属していたアキラは
この頃、男子テニス部三年の佐々木に想いを寄せていた。
お世辞にも二枚目とは言い難い男性ではあったが
一年から進学クラスに属する秀才。
運動で鍛えられた肉体は
彫刻のような美しい体であった。
そんな佐々木に何度も猛アタックをするものの
アキラの思いが届く事はなかった。




今まで散々
男達と遊んでいたアキラであったが
佐々木の事を口に出すようになってからは
他の男の影が一切なくなった。





    ―――  私は佐々木先輩が好き!




溜息交じりで呟くアキラの姿を見て
溜息が出る程
誰かを好きになるなんて
なんて可愛らしいんだろうって思った。
誰かを想って苦しくなったり
溜息が出たり、哀しくなったり
私にはそんな経験が一度もない。



どこにも逃げ場がなく
居場所を求め続けた私達。
寂しさと孤独を埋める為
ただそれだけの為に生きてきた気がする。


でも誰でもいいじゃなくて
アキラが心から好きだと想える人
アキラの事を心から大切に想ってくれる人
アキラが心から信頼できる人。
人の心の温もり
自分にとって大切な場所。
その場所が佐々木先輩であるなら応援したい!思った。
アキラの幸せは、私の幸せでもあったから。


だが人間って本当に弱い。
弱いんだと思う。
そんな青春恋愛ごっこも長くは続かなかった。




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