------ もういいよっ!! 小雪には相談しない!!!
アキラはとても協調性があり
温和な性格であった。
その彼女が怒りを露わにし
教室に響き渡る程の大声で叫ぶと
手にしていたノートを床に叩きつけた。
アキラが怒った姿をこの日、初めて私は目にした。
何を言われても構わない。
放課後、私から米倉に話そうと思った。
「ごめん、本当にごめんね、ちゃんと聞くから、お願い話してよ・・」
「もういいから・・ 本当に大丈夫だから・・」
次は体育の授業
アキラは体操服を手に取ると
何事もなかったかのように普通にしていた。
いつもの彼女に戻っているかのように見えた。
クラスの友達と武道館へ向かっていると
アキラの足が立ち止まった。
「ごめん・・ 私、部室にシューズ置き忘れてきちゃったみたい。
ちょっと取りに行って来る。」
「私も一緒に行くよ、一緒取りに行こう!」
「さっきの事気にしているの? 心配しなくても大丈夫だから。」
笑顔で手を振り部室へ消えて行くアキラ。
後ろ髪を引かれる思いって、こういう時の事を言うのだろうか
笑顔で部室へ向かうアキラの姿を目にしながら
大丈夫、何もない。
そんな事を思いながら武道館へと向かった。
この日がアキラの姿を見た
高校生活最後の日になるなんて思ってもみなかった。