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20:「僕」男の子。(9)

2016年07月07日 05:12


優ちゃんの事が好き。
だが彼氏に別れを切り出せずにいる時
和泉が優ちゃんと私の中を取り持とうとしている事を知り
焦ったカナは
私に声をかけてきたのだ。





いいよ、とは言ったものの
複雑な心境だった。
だって彼氏とも別れてもいないのに
私にどうしろというのだ。
しかもその男は
優ちゃんと同じ部署に属する癖のある男だった。


私は和泉と仲が良かった事もあり
その男からもこーちゃんと呼ばれてはいたが
彼の事は大嫌いだった。
私のように地味で目立たない女の子を標的にしては
容姿などをネタにし大声で笑ったり
執拗なまでに付き纏って小馬鹿にしたり
人を見下して楽しんでいる場面を度々、目にしていたから。



上手く言えないけど
この男は薫と似ていた。
一見権力のある男に見えるが
他の奴は騙せても私は騙せない。
この人が小者だからこそ
自分を強く見せるためにそういう事をしているという事が
私には手に取るように分かった。






自信がないからこそ女が敵わない力で制圧する。
カナもこの彼に支配されていたのだ。
そんな彼が怖くて別れられずにいたカナ。
きっとカナが優ちゃんと付き合ったら
暴力という手段で酷い目に遭わされるだろう。






カナを見ていると
薫の存在に怯えていた自分を重なり
無視する事ができなかった。
だが結局
優ちゃんに想いを告げる事もないまま
彼から逃れるためにカナは会社を去る事となった。








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