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12:失われた小鳥たち(17)

2016年01月05日 09:38

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12:失われた小鳥たち(16)

2016年01月04日 09:36

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12:失われた小鳥たち(15)

2016年01月03日 19:20

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12:失われた小鳥たち(14)

2016年01月02日 19:16


薫の軽自動車に乗っている間も
ホテルのエレベーターに二人きりで乗った時も
これから自分達が行おうとしている行為を
世の中全ての人間どもに知られているような気がして
まともに顔を上に上げる事が出来なかった。



            後悔していた。





一言も喋る気すら起きない私の隣で
部屋の鍵を握りしめる男の表情が
喜びをしたかくしに
冷静を装っているかのように見えた。




気持ち悪い。

何もかも全てが。




後悔で打ちひしがれる中
掌から溢れ出るお湯を眺めていた。
ふと気になり扉に視線を送ると
扉のわずかな隙間から
男が横目で私の体を舐めるように見つめていた。
あまりの気持ち悪さに背筋がゾッとした。





逃げられない。




もう逃げられないのだ。



観念した私は自分を清めるかのように
頭からシャワーのお湯を浴びると
白いタオル地のガウンを羽織り
男の待つ部屋へと向かった。




12:失われた小鳥たち (12)

2015年12月31日 19:13

別に誰でも良かった。
早く大人になりたかった。
セ.,.ックスを経験すれば大人になれる様な気がした。
大人になれば
この生活から逃れられるような気がした。
居場所を見出せるのなら
相手は誰でも良かったのだ。




  ―――  彼女がいないようには見えない、なんて言われる。



その言葉を疑う余地なんて全くなかった。
だがしばらくして
私の眼に飛び込んできたのは
想像を絶する程の醜い男。




ゴリラのほうが余程、美しい!
だが分かりやすく言うならばゴリラ顔
ブラマヨの小杉のような髪の毛を
天に突き刺さるかの如く
ムースでガチガチに固め
誰も穿かないような霜降りのジーンズの上には
胴周りについた脂肪の塊が
今にも溢れでそうな状態でついている。
ボクシングの面影など微塵もない。
だらしのない生活感が全身を覆っていた。


身長もせいぜい165、6といったところだろう。
あまりにも醜さになかったものにしようと思った。



他人の振りをして帰ろうかな? 
でも自宅の電話番号を知られている・・
どうしよう・・・怒って家に電話されたら
色んな事が頭の中を駆け巡る。


男との距離が縮まる。


どうしよう・・

どうしよう・・・



          ------------  オレ、薫なんだけど小雪ちゃって君だろう?




肩を掴まれた。
もう逃げられない。
覚悟を決めた私は
この日、初めて逢った薫とホテルへ向かった。




12:失われた小鳥たち(11)

2015年12月30日 19:10

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12:失われた小鳥たち(10)

2015年12月29日 18:25


  
  ―――   ちょっと待ってね、番号はねーっ。



嬉しそうに会話する茜。
父にこんな事をしているなんてバレたら
ただじゃ済まない。
茜の肩を叩きながら必死に横に首を振った。




      -----------  番号は絶対に教えないで!



だが話に夢中な茜は私の事なんて
全く目に入らない。



  ――― これさ、小雪の家の番号なんだけど
       こっちから電話しない時には、絶対にかけないでね!
       小雪のお父さん、無茶苦茶、怖い人なんだから。
       すぐかけなおして、番号はね・・・




自宅の番号をバラされた。
その日から
家の電話が鳴る度に反射的に私の体がビクッ!と動いた。
電話の相手が薫じゃないか気が気じゃなかったが
彼は約束をきちんと守り
こちらからかけない時は一切、連絡してこなかった。


最初の頃は
茜と二人で頻繁に連絡していたが
高校受験、今後の進路に向け
クラスの雰囲気も変わり始める。
次第に連絡をする回数も減り
私達は薫と連絡を取る事もなくなっていた。


12:失われた小鳥たち(8)

2015年12月27日 18:22

   ----------   アイツ今頃、待っているんじゃない?


              超ウケル!



私と茜はお腹を抱えながら
大声で笑っていた。

中学生だった頃
学校を終えた私達は出会い系サイトで男を探す。
だが私達がするのは約束まで。
バカな親父共と約束をしては
指定の場所にのこのこと現れる
無様な男達の姿を想像しては馬鹿にし笑った。

そこに意味なんてものはない。
楽しかった、ただそれだけだった。



知りあう男と言えば
親子ほど年の離れた親父ばかりなのに
ある日、二十歳の男と知りあった。
彼の名は薫。
女みたいな名前だな・・そう思ったのを覚えている。



誰に似ているの?
周囲の人間からは、彼女がいないようには見えない。
ボクシングもやっているし、カッコイイなんてよく言われるけど
自分では分からない。と答える彼。
自分の事をカッコイイと堂々と口にできるなんて
余程、自分の容姿に自信のあるんだろうな、なんて思ってた。


若いという事もあってか茜が正直に中学生である事を伝えると
最初は戸惑っていたが
暇だったら今度、電話してよ!
薫は自宅の番号を教えてくれた。

幼稚な同級生達とは違う。
二十歳の大人の男性。
しかも自分で堂々とカッコイイと言える男。
逢った事もない
声しか知らない相手。
そんな彼に茜は期待し胸を大きく膨らませていった。
それは恋と言っても過言ではなかった。



12:失われた小鳥たち (7)

2015年12月26日 18:16

セミロングの小柄な女の子。
彼女の名はアキラ。
アキラは学年で三十番以内の優等生しか入れない
進学クラスに属していた。
その中でも彼女の成績は常にトップ。
運動神経も優れていた。



「もしかして親にされたの?」


「そう。 家の父親厳しくって思いどうりにならないと、すぐ叩くの。」



同じだ。


同じなんだ。

彼女になら話せる。

彼女なら分かってくれる。




    ----------   あのね、私も同じなの・・・ あなたと同じ・・・私の話しを聞いてもらえない?









小雨が降りしきる中
私は公衆電話の受話器に手をかけると
震える指で
紙に書かれた番号を一つずつ押していった。
心臓が破裂しそうだった。







何やっているんだろう・・


やっぱりやめよう、


いや賭けだ!


自分自身を煽る私がいる
逃げ腰になる自分が腰ぬけに思えてならなかった。


三回コールで出なかったら私の勝ち。
三回コ―ルで相手が出たら私の負けだ。
私はこの日、賭けにでたのだ。


12:失われた小鳥たち (6)

2015年12月25日 18:14

授業を終え、バス停に向かう。
何故だか分からない。
その日は
普段、絶対に乗る事がないバスを待っていた。
早い時刻という事もあってか人も少なく
バス停裏の敷地に生い茂る雑草を
ぼんやり眺めていると
歩行者の体が私の手に当たり握っていた鞄が地面に落ちた。




          ---------- ごめんなさいっ!!



振り返ると
同じ高校の制服を着た女の子が立っている。



「汚しちゃって・・・ごめんね。」



砂を手で払うと彼女は鞄を差し出した。
細い華奢な腕
セーラー服の袖の隙間から大きな青アザが見えた。
なんだか見てはいけないものを見てしまった気がした私は
視線を反らし手渡された鞄を受け取った。



「もしかして、見えちゃった?
見えないかなぁ、って思ってたんだけど見えちゃうよね?」


「ケガ大丈夫ですか?」


「あぁ、大丈夫、もう慣れっ子だから・・・」




               慣れっこ?




               慣れっこって・・何?




               まさか・・・


               いや違う。


               そんな子いるはずがない・・・・




強張る私の目の前で
彼女は諦めにも似た表情で言った。



   -------    私の親、頭オカシイから。




全身に鳥肌が駆け巡る。


居たのだ。


この世の中に。


しかも、こんなすぐ側に。



私と同じ女の子が・・・



私と同じ痛みを持つ女の子が



今、私の目の前に現れたのだ。






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